だいにっぽんメモ

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当ブログは筆者が身の回りのことをメモ感覚で書き残していくブログになります。基本的に”自分用”ですが目が寂しいときなどはぜひお立ち寄りください!

はじまりの社会学 第10章

『はじまりの社会学 -問いつづけるためのレッスン-』奥村隆(ミネルヴァ書房/第2刷2020年4月20日)
165~182頁:第10章 都市とコミュニティ ━都市研究には社会学のどんな姿が映しだされているか(小川伸彦)

 

 

1.社会学は何をしようとする学なのか
〇わかりにくさ
社会学は特定の視角から人間を研究する学問
社会学のふたつのタイプ
・「世直し型」と「謎解き型」のふたつが存在する
・双方が有機的に結びつくことによって社会学はより社会学らしさを増していく
〇「を」と「で」
・具体を通して抽象を見る「で」と具体の観察で留まる「を」
社会学は「を」からはじまって「で」へと進もうとする
・都市社会学についても当然「世直し型/謎解き型」「を/で」がある

 

2.問題としての都市
〇都市の同心円理論
シカゴ学派が「解体」をキーワードとして「問題」に取り組んだ
・アーネスト・バージェスが都市を同心円理論によってとらえた
・バージェスは「解体」を必ずしも負であるとはしなかった

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生活様式としてのアーバニズム
・ルイス・ワース「生活様式としてのアーバニズム(Urbanism as a Way of Life)」

・都市を単に「シティ」という空間としてではなく「アーバニズム(都市化)」というプロセスとして捉えた
・そのプロセスの"程度"を「人口量」「居住地の密度」「居住者と集団生活の異質性」の3指標をもって把握しようとした

・ワースは都市(化)と人間との関係を社会学の中心に据えようとした

 

3.コミュニティ問題・下位文化論・マルクス主義的都市社会学
〇喪失論・存続論・解放論
・ワースに対して「そもそも都市を解体の場だと問題視すること自体が問題なのでは」との反論
・バリー・ウェルマンは都市社会学を「喪失論」「存続論」「解放論」の3つの思潮に分類した

・喪失論:都市において人々は強い紐帯を失い、社会解体的な結果がもたらされる。「ワースはこれ」とウェルマン
・存続論:都市においても人々は強い紐帯を失っていないが、行政に対する力はない。ハーバード・ガンズ『都市の村人たち』が代表的
・解放論:血縁等従来の第一次的紐帯に縛られることなく、新たな第一次的紐帯を携えて「地域」から解放される。ウェルマンはこれ

・ガンズとウェルマンによる各論の議論は都市のみを捉えようとする際には不十分なものである
〇アーバニズムの下位文化論

・クロード・フィッシャーは「アーバニズムの下位文化論」でガンズやウェルマンとは異なる着想をもって挑んだ

・この理論は「非通念性(ふつうじゃない性)」がキーワードとなっている
・従来「逸脱」とされてきたようなものが新しいポジティブなものを生み出す可能性がある
マルクス主義の立場からの批判
・以上は「都市が何を生み出すか」以下は「何が都市を生み出すか」

・マニュエル・カステルは国家によって都市に用意されたものに依存しなければ人間が生きていけないことを問題視

デヴィッド・ハーヴェイは都市の建造環境を直視

・有り余った資本の循環のための投下先が建造物であり「都市とはこの循環の集合体という特異な空間である」とした

 

4.都市「で」研究する
〇実験室としての都市━R・パークの視座
・以上は「世直し型」「を」の研究

・パークは都市を「人間の本性や社会諸過程」を解明するための「実験室」と表現した(=都市「で」のスタンス)

ジンメル都市論に学ぶ

・ゲオルグジンメルは「大都市と精神生活」で都市において人間は孤独だがだからこそ自由であるとした

〇非人格性と貨幣
・都市においては非人格的な人間関係が形成されている

・貨幣によってもたらされる「非人格化」と「匿名性」は良くも悪くも人間を孤立させ自由にする

ジンメルの教え

・「非難・承認はわれわれの課題ではない。課題はただ理解のみ」と「謎解き型」のスタンスをとった