ジャルジャルのコント『聞く人、間違えた奴』(視聴はコチラ)では「変な奴のパラドックス」が発生している。コント中に登場する福徳について変な奴か否かを決定しようとするとその推論が無限に循環してしまうのだ。このパラドックスは以下の3つの前提から導かれる。
【3つの前提】
前提①→駅への行き方を尋ねてきた人間に対して「なぜ私を質問相手に選んだのか」と疑問を投げかける行為は正しくない
前提②→変な奴を質問相手に選んだ人間に対して「なぜ変な奴を質問相手に選んだのか」と疑問を投げかける行為は正しい
前提③→正しくない行為をした人間が変な奴である
東京駅への行き方を尋ねてきた後藤に対して福徳は「なんで俺チョイスしたん?」と逆に質問を行った。前提①からこの質問は正しくない行為であるとわかり、続けて前提③から福徳が変な奴であることもわかる。
しかし、福徳が変な奴であるならば彼の「なんで俺チョイスしたん?」という質問は前提②により正当化される。そうすると「なんで俺チョイスしたん?」という質問に対して前提③を適用することができなくなるため福徳が変な奴であることの根拠がなくなってしまう。よってこの段階で福徳が変な奴ではないということがわかる。
ところが、福徳が変な奴でないのならば先ほどの前提②による「なんで俺チョイスしたん?」の正当化がなされないため、やはり、前提①および③によって福徳が変な奴であるとの結論が導かれてしまうため、ここに推論の循環が発生しパラドックスが成立する。