だいにっぽんメモ

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当ブログは筆者が身の回りのことをメモ感覚で書き残していくブログになります。基本的に”自分用”ですが目が寂しいときなどはぜひお立ち寄りください!

リーガルハイ 長台詞(1期第9話-旧絹美村公害訴訟回)

 

リーガル・ハイ(1期)』第9話(旧絹美村公害訴訟回)より

 


郷 田「てめえだってダニに寄生してるばい菌じゃねえか!」
守口久「あたしたちの何が気に入らないの!」
古美門「かつてこの地は一面に桑畑が広がっていたそうですよ。どの家でも蚕を飼っていたからだ。それはそれは美しい絹を紡いだそうです。それを讃えて人々はいつしかこの地を"絹美"と呼ぶようになりました。養蚕業が衰退してからは稲作に転じました。日本酒に適した素晴らしい米を作ったそうですが、政府の農地改革によってそれも衰退した。そのあとはこれといった産業もなく過疎化の一途をたどりました。市町村合併を繰り返し補助金で凌ぎました。5年前に化学工場がやってきましたね。反対運動をしてみたらお小遣いがもらえた。多くは農業すら放棄した。ふれあいセンターなどという中身のない立派な箱モノも建ててもらえた。使いもしない光ファイバーもひいてもらえた。ありがたいですね。"絹美"という古臭い名前を捨てたら南モンブラン市というファッショナブルな名前になりました。なんてナウでヤングでトレンディなんでしょう。そして今、土を汚され、水を汚され、病に侵され、この土地にももはや住めない可能性だってあるけれど、でも商品券もくれたし、誠意も絆も感じられた。ありがたいことです。本当によかったよかった!これで土地も水も蘇るんでしょう!病気も治るんでしょう!工場は汚染物質を垂れ流し続けるけどきっともう問題は起こらないんでしょう!だって絆があるから!」

郷 田「うわああああ!」(古美門を殴り飛ばす)

郷 田「てめえなんか!てめえなんかぶっ殺してやる…!」

守口三「譲二の気持ちは全くだ!」

守口久「そうよ、どうしてそんなひどいことが言えるの!あんたは悪魔よ!」

錦 野「あんたなんかに俺たちの苦しみが分かってたまるか。俺たちだってあんたの言ったことくらい嫌と言うほどわかってる。皆、悔しくて悔しくて仕方ねえんだ。だけど、必死で気持ちを押し殺して納得しようとしてるんじゃねえか!」

古美門「なぜ?」

錦 野「なぜ…?」

古美門「ゴミ屑扱いされているのをわかっているのになぜ納得しようとしてるんです?」

錦 野「俺たちはもう年寄りなんだよ…」

古美門「年寄りだからなんなんですか」

錦 野「具合が悪いのに皆頑張ってきたんだ!」

古美門「だからなんだってんだ!…だから労わってほしいんですか?だから慰めてほしいんですか?だから優しくされたらすぐに嬉しくなってしまうんですか?先人たちに申し訳ないと、子々孫々に恥ずかしいと思わないんですか?『なにが南モンブランだ!絹美村は本物のモンブランより遥かに美しい!』とどうして思わないんですか!誰にも責任を取らせず、見たくないものを見ず、みんな仲良しで暮らしていけば楽でしょう。しかしもし、誇りある生き方を取り戻したいのなら、見たくない現実を見なければならない。深い傷を負う覚悟で前に進まなければならない。戦うということはそういうことだ!愚痴なら墓場で言えばいい!金がすべてではない?金なんですよ。あなた方が相手に一矢報い、意気地を見せつける方法は、奪われたものと踏みにじられた尊厳にふさわしい対価を勝ち取ることだけなんだ!それ以外に無いんだ!錦野春夫さん、あなたは元郵便局長だ。幾度となく閉鎖されそうになった村の郵便局を最後まで守り抜いた。守口三郎さんは小学校の校長先生。村にいた子供たちはみんなあなたの教え子だ。奥さんの久子さんは町のデパートの化粧品売り場で月間売り上げの記録の保持者。郷田譲二さんは実に100haもの田畑を開墾した。河田さと子さんとご主人は田んぼをやりながら日雇いの仕事をいくつもいくつも掛け持った。富田康弘さんは商店街の会長。毎年祭りを盛り上げて、あのクリスタルキングを呼んだこともある。板倉初江さんは女だてらにクレーン車を動かし6人の子供を育て上げた。敗戦のどん底からこの国の最繁栄期を築き上げたあなた方ならその魂をきっとどこかに残してる!…はずだと期待した私が愚かでした。いいですか?二度と老後の暇つぶしに私を巻き込まないでいただきたい。心優しいダニ同士お互い傷を舐め合いながら穏やかに健やかにどうぞくたばっていってください。それでは皆さん、さようなら!」

 

「かつてこの地は~」で始まる1つ目の長台詞が550字、「だからなんだってんだ!」で始まる2つ目の長台詞が792字(ともに本文字起こしにて)と圧巻の分量。台本の見た目がもうね。どこでカットが入っているのかは分かりませんが、2つ目はいつだかの特集かなにかでほぼノーカットで撮った的なことをどなたかが仰っていたような気がしないでもない(ド曖昧)。

こんな長い文章、暗唱するだけでも大変なのにそこに演技を加えて表現しなきゃいけないとなったらいよいよ素人には想像のつかない難易度。リーガルハイにおける堺雅人さんの演技は全編に渡って神がかっており、このシーンもその例に漏れないといってよいでしょう。